株式会社婚礼センター

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episode7

SAY YES!

その日社員の村山君(仮名)は腹が立って仕方ありませんでした。

自分が担当したとても条件が厳しい

35歳、高校中退、年収300万円、身長160cmの男性を

なんとかまとめたいといわゆる「やり手の仲人さん」を訪ねた帰り道です。

やり手の仲人さんは

中卒、年収250万円、身長158cmの頼りなさそうな男性や、 関西の女性を希望する離島の造船所で働く高卒男性をまとめた人。

この人なら厳しい条件の方でも まとめるコツやツボをご存じに違いない

アドバイスをいただいたり あわよくばお相手を紹介していただけるのでは?と 意気揚々と出かけたのですが

「なんでそんな難しい人を私に持ってきたんだ? もっとまともな人を持ってきなさい! アホと違うか!?」

そうボロクソに言われて追い返されたのです。

人徳が高く、誠実で親切な人だからこそ 信頼されてまとめられるものなのかと思いきや 見事に裏切られました。

「何もあんなに見下さなくて 他にも言いようってものがあるだろうに。 そんなに人をバカにするような 人間性の低い人だとは!

あんな人でさえ難しい条件の方をまとめられる

と言う事は?!

そうだ、どんな人でもお相手は 必ずいると言う事なんだ!!

そうなんだ。

「私でも必ずまとめられる」と言う 確信がメラメラと湧いてきました。

あんな人には絶対に負けない。 必ずまとめてみせる!」

怒りは自分への激励へと変わっていきました。

それから毎日毎日、両手の拳を握りしめ

「必ずまとめる、必ずまとめる」と 呪文のように唱えながら通勤していたところ

1ヶ月ほどして引き寄せられたかのように 高校中退男性にピッタリな女性が現れたのです。

程なくお見合い、2ヶ月間の交際の後 何の問題もなくスムーズに成婚となりました。

村山君はその時

「その人にはその人に合う人がいるものだ。 どんな人にもお相手は必ずいる。 どんな人でも必ずまとまるものだ。」

と、確信を得たのです。

その一件の後、村山君の担当する他の会員さんたちも どんどんとまとまるようになっていきました。

ところでこの村山君の奮起は、やり手の仲人さんの冷たい態度に対抗するものでしたが、

実はやり手の仲人さんは村山君が思ったような人間性の低い人ではありません。



人にお願いをし
快く受けていただくためのルールがあります。




今回、村山君のように
特に難しい方のお相手探しの依頼をする時は

前もってその仲人さんがお相手探しで困っている方を聞き出しておいて
その方の候補者となるような方を2~3人用意し
まずは候補者の事を詳しく説明する事で
依頼する仲人さんのお困りごとを先にお助けする。



そして仲人さんに喜んでいただいたところで
「実は私もお相手がいなくて困っている方がいまして
 こんな方なのですが・・・」
と、後からお願いするのです。



我が社ではそのようにしてきましたが
村山君にもあらかじめこのルールを
伝えておくべきでした。



少々手荒な経験でしたが
村山君が「お願いルール」を知らなかったことで

どのような条件でも
どんどんおまとめできるようになったのは事実。

人間、どこに幸運があるかわからないものですね。

ところでこの村山君に対するやる気スイッチは
もう一つあったのです。



そのスイッチは実はご結婚なさるご本人様ではなく
お母様にありました。

この方のお母様は毎月会費をいただいて
お世話させていただいているにもかかわらず

会費とは別に毎月菓子折りを持参されるのです。



あまりにお相手の候補者が少なく
プレッシャーを感じていたこともあり
心苦しく思っておりましたところ



お母様は
息子さんの縁遠さの原因(高校中退=中卒)は
自分達両親にあって
決して息子に原因があるのではないと
涙を流さんばかりに訴えておいででした。



彼の高校中退の真相は

グレたり
イジメだったり
体が弱いとか
勉強ができなかったとかではなく



ご両親の経営する会社が倒産したために
毎日借金取りがやってきて
大変な目に遭っているのを見かねて
親に内緒で高校を退学し

学校に行くふりをして仕事に行き
給料のほとんどをローン会社と話をつけて
会社の借金返済あてていたのでした。


そんな親想いの息子さんに対して
何かしてあげられることはないか?



いつもニコニコしていても
ふと寂しげな背中を見せる息子に
親としてできることは

結婚をお世話いただく先生に
心からお願いをすることしかできないと

毎月菓子折りを持って
何度も何度も腰を折るように
頭を下げられたのです。



もちろん、当社では入会時に家庭の事情、
中退の理由とかも全て聞いておりました。

でも、改めて、お母さんからその時の話を
直接聞かせていただいて

「お母さんの辛さ、悲しさ、子を想う親心」
を感じて、胸が熱くなり、

「お母さんを助けてあげたい!
何とかしなければいけない!」
と強く思ったそうです。



婚活には釣書に書かれていない
心揺さぶるドラマがあります。



それをお母様から聞かせていただいたことで
村山君は自分の殻を破り
「まとめる能力」を身に付ける事ができたのでした。

お母様、ありがとうございました。